アストンマーティンが12年ぶりに新型ヴァンテージを発表!エンジンにはAMG製V8ツインターボ搭載(3/4)
- 筆者: 嶋田 智之
- カメラマン:アストンマーティン
メルセデスAMGの4リッターV8をベースのパワーユニット
フロントアクスルの後ろ側、バルクヘッドにメリ込むように低くマウントされているパワーユニットは、これまでの自然吸気4.7リッターV8に代わり、メルセデスAMGから供給されるものをベースにした4リッターV8ツインターボだ。最高出力は510ps/6000rpm、最大トルクは685Nm/2000-5000rpm。これはすでにDB11 V8に搭載してるものと基本は同じユニットと考えていい。
だが、こちらの方が最大トルクは10Nm高い。アストンマーティンは現在もヴァンキッシュやラピードなどに搭載される自然吸気V12を長年にわたって熟成してきているが、それらは基本を同じくしていても、常にクルマのキャラクターに合った細やかなチューニング(まさしく”調律”だ)を施したものになっている。
このV8ツインターボもAMG製をポンと載せただけであるはずもなく、サウンドやフィーリングに独特の“らしい”味わい深さを持たせるため、各部に入念なチューニングを施しているという。DB11 V8との数値の違いも、ヴァンテージというモデルに合わせた最適化の結果なのだろう。
ちなみこのパワーユニットはZF製の8速オートマティックと組み合わせられていて、静止状態から62mph(約100km/h)まで3.7秒で達し、そのままスロットルペダルをプッシュし続けると、314km/hの最高速度に達するという。スピードの面でも、立派にスーパースポーツカーの範疇にある。
このクラスとして段トツのスポーツカーに仕上がった!?
強靱で空力性能にも優れたボディと力強いパワーユニットが生み出すその速さを支えるシャシー周りは、サスペンションはがフロントがダブルウイッシュボーン+コイツ、リアがマルチリンク+コイルで、スカイフック式のアダプティングダンピングシステムを備えている。
ブレーキはフロントは6ピストンのキャリパーにφ400のディスク、リアは4ピストンにφ360となるベンチレーテッド・ディスクで、マスターシリンダーやブースターもレスポンスに優れたものへと改めたという。ステアリングはロックトゥロックが2.4回転というかなりクイックな車速感応型電動アシスト付きとなる。そしてタイヤは、グリップを手放し始めてからのコントロール性のよさに定評のあるピレリPゼロを、ヴァンテージ用にアジャストした専用品を共同開発して履かせている。
フットワーク系における最も大きなトピックは、アストンマーティンとしては初採用となる電子制御式リアデフが組み込まれたことだろう。オープンの状態から100%ロックまでを瞬間的にシームレスに切り替えることのできるそのシステムは、トルクベクタリングやスタビリティコントロールなど他の電子デバイス系、そしてエンジンのパワーやトルク、ギアのチョイス、サスペンションの動き、ステアリングの切れ角などと合わせて統合制御されるという。
もちろんドライバーがチョイスする走行モードなども、制御に組み込まれているだろう。ヴァンテージの走行モードは、デフォルトがスポーツ、そしてスポーツプラス、トラックの3段階となる。
そうした諸々を考えていくと、新型ヴァンテージは先代のヴァンテージが持っていた、このクラスのスポーツカーとして段トツともいえる素晴らしいハンドリングとコーナリングパフォーマンス、つまり“曲がる”という楽しさを、さらに磨き上げたスポーツカーに仕上げられてるんじゃないか? という期待感が膨らんでくる。近年のアストンマーティンのダイナミズムに向けたこだわり具合からすれば、それは少しも的からはずれてないようにも思えてくる。
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