アストンマーティン シグネット 海外試乗レポート／川端由美(2/2)
- 筆者：
- カメラマン：アストンマーティン
インテリアに溶け込むようにデザインされたポータブルナビに目的地を入れて、香港の街中を走り出す。
張り出した看板の下をトラムやタクシーと競争しながら走っていると、3×1.7×1.5mのコンパクトなサイズと最小回転半径4mゆえの取り回しの良さが非常にありがたい。
もちろん、市街地で駐車スペースにも困らない。
MT仕様がないのを嘆く向きもあるが、変速が滑らかなCVTのほうが混雑した市街地には向いている。
メカニズム上はベースのトヨタiQから大きな変更はないので当然だが、198ps／123Nmを生むに過ぎない1.3L直4ユニットは決してパワフルとは言えない。
しかし、大都市で走ることだけを考えるのであれば、坂道や香港の丘を駆け上がる程度であればパワーの不足はない。むしろ、CO2排出量116g/kmという低い環境負荷を評価すべきだ。
今の時代、スーパースポーツカー・メーカーといえども、不用意にCO2を排出していいはずもなく、美しくパワフルな兄貴たちが排出する大量のCO2を償うためにシグネットというひな鳥が生まれたのは事実だ。
そうした出生の秘密はあっても、都市部の住人にとって、愛嬌のある顔立ちとアストンマーティンらしい上質な内外装を備える「ベビー・スワン」が選択肢に増えたことは歓迎すべきだ。
475万円～という価格はコンパクトカーとしては決して安くないが、この金額を洒脱に支払える伊達者にこそ乗ってほしい個性的な一台だ。
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自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。
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