~ワタシの心を振るわせた、特別な彼 ~「Aston Martin(アストンマーティン) DB9 GT」ショートインプレッション(3/3)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:和田清志・小林岳夫・アストンマーティンジャパン
ダニエル・クレイグのごとく、徹頭徹尾クールさを貫き通す
さて、気分はジェームス・ボンドで(ボンド・ガールではないところがやや泣けるけど)アクセルペダルに足を載せると、加速は思ったほどにクイックではない。レスポンスに優れたタッチトロニックIIとはいえ、始動のしょっぱなは恥じらうようにもじもじと進み始めるのが意外だった。
踏んでいけば踏力に対してややラグを持ちながら、じわ~っとトルクを伝えて行くような感じ。
そのともすればちょっとダルな印象は高速巡航に入るまで変わらなかった。しかし、その微動だにしないフラットな車内でメーターを見れば、ぎょっとする領域まで到達していること請け合いである。DB9 GTは眉ひとつ動かさず、冷徹なポーカーフェイスのままでとんでもなくサディスティックな速度にまで、ドライバーを連れて行ってしまうのだ。このあたりV12エンジンは底が見えないほどフトコロが深い。
その存在感はもう段違いに高嶺の花だった・・・
そう、GTの名を持ちつつもその味はあまりにもクール。サスペンションもインフォメーションを仔細に伝えるような性格ではなく、あくまでもコンフォートを保っているのが末恐ろしいと言おうか、うすら怖いと言おうか…。もちろんダンパーコントロールボタンを供えているので、もっと手厳しいスパルタンさをアシに求める人は、それを選択すれば良いのだけど。
しかし、これほどまでにエレガントなGTモデルを、外観のエレガントな印象そのままに乗りこなせるなんて、それも希有な個性だと感じた。ガタピシするなんて私の性には合わないのよと、囁くようなDB9はやっぱり存在感からして段違いに高嶺の花なんである。
[レポート:今井優杏/Photo:和田清志・小林岳夫・アストンマーティンジャパン]
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