アストンマーティン「DB11」で新時代へ!サーキット試乗でみえた傑作「DB9」を超えた実力とは(3/4)
- 筆者: 嶋田 智之
文句のつけようがない新開発のV12ユニット
アストンマーティンをよく知る人にとって最も気になるのは、新開発の5.2リッターV12ツインターボエンジンはどうなんだ?ということだろう。これまでの自然吸気のアストンV12は、速さもさることながら、そのサウンドや最上級の絹に触れるかのように吹け上がりの滑らかさで、蕩けるような気持ちよさを感じさせてくれたからだ。
結論からいうなら、それは“取り越し苦労”と申し上げていいだろう。サウンドはやや柔らかみを増した感じはあるものの、アストンV12以外の何者でもない美しいシンフォニーだ。そして抜群によくできた自然吸気エンジンのように、フィーリングも素晴らしく滑らかだ。
実力に関しても全く申し分ない。1500rpm~5000rpmの間で71.4kgmの最大トルクを発揮し続けるからほぼ全域で力強く、2500rpm辺りから徐々にパワーの厚みが増してきたと思うと、自然に力を膨らませながら7000rpm近くまで淀みなく一気に回っていく。
608psあるのだから、文句のつけようがないくらいに速い。軽々しくなく濃厚だし、鳥肌が立つぐらい気持ちいい。どこか不安だったターボのネガティブな部分は一切感じられず、逆にターボのポジティブな部分を巧みに利用している。
これまでのアストンラインナップから頭ひとつ抜けた
この時代にV12ユニットを新たに自社開発するというのも凄いことだけど、ここまで仕上げて送りだしてきた技術力はもっと凄い。
サーキットを走らせた限りにおいては、こうした走りに特化したようなスペシャルモデル、ヴァンテージGT12に結構いいところまで肉薄できるんじゃないか?という印象を受けた。しかも乗り心地も一般道に滑り込んでいっても間違いなく快適であることが簡単に予想できてしまう。
今回の試乗では体感できるところまではいかなかった『安定感が素晴らしかったから効いているのだろう』が、フロントのホイールハウスから高圧でエアを抜き、フロントのリフトを抑える仕組みや、Cピラーから高速でエアを入れてリアデッキのスロットから高速で排出することでリアのリフトを抑える仕組みなど。エアロダイナミクス的にも新型DB11には新しいテクノロジーが注ぎ込まれている。
ハードウェアに関しては、これまでのアストンのラインナップからは頭ひとつ分ぐらい飛び出した感がある。それは間違いなく素晴らしいことだ。
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