アルファロメオ ジュリエッタ 海外試乗レポート(3/3)
- 筆者: 西川 淳
- カメラマン:フィアット グループ オートモービルズ ジャパン
走りのライバルはゴルフ
搭載されるエンジンは“空気”を制することで、性能と効率の向上を両立している。早くから直噴ディーゼル技術に取り組んで来たフィアット・グループならではの、今後の軸となるテクノロジーだ。
1.4TBにはスロットルではなく電子制御油圧バルブによって吸入空気量を制御するというマルチエア技術が、また1750TBにはターボラグ削減に効果的な排気制御システムが、それぞれ組み込まれた。
フィアット・アウトは内燃機関における“空気の出し入れ”を積極的にコントロールすることで、過給機付きエンジンでありながら自然吸気のフィーリングをキープし、性能と効率を同時に高めるという、彼ららしいダウンサイジングを試みているのだ。これらのテクノロジーは順次、グループ内にも展開されるはず。
今回はいずれも6MTでの試乗となった。Cセグメントとしてオールマイティに使え、なおかつアルファロメオらしく楽しめるのはマルチエア1.4TBである。動き出してすぐに分かるスムースでしっとりとした走り味は、147時代からは想像もできないほど。
開発者が盛んにゴルフとの対比を口にしていたが、なるほどそのレベルだ。それでいて、ひとたび乗り手がステアリングホイールにしがみつけば、前輪と両腕がダイレクトに繋がるような感覚でそのハンドリングを楽しむことができる。ちなみに、このグレードにはアイドルストップ機能が採用された。
対する1750TBは、やや硬めの乗り心地ではあっても、乗り手がその気にならずにいる間は、しなやかかつ上品に走らせることも可能だ。モード別走行制御DNAスイッチをN(ノーマル)にしておけば、ハンドルさばきも軽やかに、シティカーとして流して使える。
ところが、D(アクティブ)にすると一転、過激さが弾け出る。ガチッとしたハンドルの手ごたえに始まり、トルクをガツンと増すエンジン、その他電子制御系は軒並みスポーティに振られて、いきなりホットハッチに変身するのだ。それでも、Q2ほかアルファ自慢の電子制御システムによって内側に向くことは、大方の場面において、保証されている。
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