アルファロメオ アルファ159 海外試乗レポート(3/3)

  • 筆者: 西川 淳
  • カメラマン:フィアット・オート・ジャパン
アルファロメオ アルファ159 海外試乗レポート
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最新Dセグメントモデルの中では、最も刺激的な1台

注目の3.2 V6 JTS Q4から乗ってみよう。

会場から一般道へと流出する石畳の上で感動するのは、アシまわりのしなやかな動きだ。路面のゴツゴツをスムースにいなし、不快な突き上げや振動を乗り手に伝えない。アルファロメオに”あるまじき”NVH性能の高さにも驚いた。156の、特にV6モデルに顕著であった、ドライバーを煽ってやまない音や振動がないのも寂しいが、余計なノイズ(N)やバイブレーション(V)、ハーシュネス(H)を感じないのは、街乗り時や高速走行時には有り難い。そういうときはやはり、リラックスして運転したいものだからだ。

ボディのしっかり感も相当に高い。大きめの段差を乗り越えてもミシリとも言わない。極めて現代的なクルマで、ようやく3シリーズあたりと比較できるところまでグレードが上がってきたように思える。直噴化されたエンジンも、獰猛なサウンドこそ無くしてしまったが、直噴エンジン特有のガラついたノイズや振動がなく、低速域での力も十分ある。町中での扱いやすさは合格だ。高速走行時の安定感の高さにも驚いた。4WDということもあるだろう。アウトバーンでメーター読み210km/hの巡航を試みたが、全く恐怖感はない。速度感のなさが逆に怖いと思うほど。

数十キロの高速走行を楽しんだのち、適当なインターチェンジを降りてワインディングロードを探す。山道は見あたらないが、地図上では田舎の曲がりくねった道が散見される。適度にコーナーの続く、田舎のオープンロードを見つけた。白っぽい緑の木立と畑の中を抜ける快適な道だ。あらためてV6エンジンに鞭を入れてみる。遮音性能が高いこともあって、以前のV6のような猛々しさこそ伝わってこないが、高回転域ではそれなりに猛々しい音が室内に侵入する。こうじゃないとワクワクしないゼ、と頬が緩む。

ステアリングフィールはクイックと評していい。リアへの駆動力配分が効いていて、80km/h程度で駆け抜ける中速コーナーではクルマが重心位置から内へ内へと誘われるようだ。これまでのアルファのように、コーナー途中でもハンドルの舵角修正を許してくれる雰囲気はない。ラインをきっちり狙い、正確に舵を当てる。そうすればとても気持ちよく、コーナーを駆け抜ける。ブレーキフィールは可もなく不可もなく。効きそのものは十分な性能があるが、最初のタッチがあいまいで、コントロールのしづらさを感じた。これもアルファロメオの伝統ではあるが。

直4モデルはどうだったか。町中や高速道路での印象は、V6同様に“フツウのいいクルマ”を強く感じた。2.2Lとなった直4エンジンは低速域での扱いが一層良くなり、ズボラな運転を許してくれるもの。6速マニュアルとなって、より自然な走りを楽しめるようになっている。

スポーティさという面では、V6モデルには叶わない。ハンドリングそのものは、例えばプジョー407あたりと比べてもずっとスポーティだし、エンジンの元気良さも違っている。それはそれでユニークな立場にあるが、アルファロメオとして見た場合の刺激は薄い。もっとも、スポーティな仕様のグレードも今後登場するだろうから、ひとまずベーシックに良くできたクルマだったという評価でいいだろう。個人的にはやはり、アルファらしさが色濃く、しかも新しさを伴って残るV6モデルを最上としたい。最新Dセグメントモデルの中では、最も刺激的な1台だと思っている。

ようやくワールドスタンダードなサイズを手に入れたアルファロメオのミドルセダン、159。予定されているさまざまな発展モデルだけでなく、マセラティとタッグを組んで夢と華のあるクルマをこれから続々生みだしてゆくためにも、159の世界的な成功は不可欠である。

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西川 淳
筆者西川 淳

別名ボンジョルノ西川が示すとおり、大のイタリア好き。乗り手をワクワクさせる、刺激に満ちたクルマが好きなので、自然にイタリア車に接することが多い。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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