アルファロメオのFRセダン新型“ジュリア”に大乗フェラーリ教開祖こと清水草一氏が緊急試乗! こ、これはアルファの革命だぁ!(1/2)
- 筆者: 清水 草一
- カメラマン:茂呂 幸正
猿岩石からピン芸人・有吉弘行への変身並みの革命だ!?
ジュリアはスバラシイ! これはアルファロメオの革命だ! 例えれば、猿岩石からピン芸人・有吉弘行への変身。じゃなかったらジャガーにおける現行XJの登場でしょうか。つまり、アルファロメオの既成概念を壊し、これまでにない価値を作り出したモデルなのですね。
その前にお尋ねしますが、皆様、アルファロメオと聞いて、どんなことを想像しますか?
「オシャレで情熱的なイタリア車」つーあたりが定番でしょうか。
んじゃ真剣に購入を考えるかと問われれば、答えは97%くらいNOだろう。理由は「オシャレすぎる」「信頼性がなさそう」あるいは「近所にディーラーない」そんなところでしょうか?
今度のジュリアは、私のような以前からのアルファファンに言わせると、かなり地味だ。というより「まんまBMW3シリーズじゃん!」という感じで、ドッチラケですらあった。アルファらしい情熱的なスタイリングはどこへ行った! 前後重量配分50:50? まんまBMWのコピーかい! つい、そんな嘆きが漏れる。少なくとも写真を見た時点ではそう思った。
でも、乗ったら180度変わりました。アルファはマニア向けの変わり種から卒業して、BMW 3シリーズと真っ向勝負するクルマを作ろうとしたのだ!
もちろん、さすがに真っ向勝負は無理で、やっぱニッチはニッチなんだけど、んでも心意気は直球勝負。一般人に理解不能なハイブラウすぎるデザインは封印し、プラットフォームも一から作り上げ、なんと25年ぶりにFRに回帰。ベンツやビーエムとガチで戦えるモデルを作り上げた。そういうことだったんだよ!
ジュリアスーパーは320iラグジュアリーの好敵手となる魅惑の1台
期待度はほぼゼロだったが・・・しかし!
ではまず、最量販グレードになるであろう、アルファロメオ ジュリアスーパーから。
エンジンは2リッターターボ(200馬力)、トランスミッションは8速AT、もちろん後輪駆動(FR)。ツルシでほぼフル装備、価格は543万円。BMWで言えば320iラグジュアリー(552万円)あたりが想定ライバルか? パワーはちょい上でお値段はちょい下という、シブいところを突いている。
2リッターターボは、アルファ自慢のマルチエアエンジンだ。しかし個人的には、「マルチエア」と聞いただけで顔が曇った。だってミトやジュリエッタに積まれたソレは、特にステキなところのない平凡なターボエンジンだったので。
つまり、正直ほぼ期待値ゼロで試乗したのですが、10メートルくらい動かした段階で「これは!」と思いました。BMWのマネなんかじゃない!
まず、パワステがメチャ軽い(笑)。実はイタリア人はパワステが軽いのが大好き。重厚なドイツ車のステアリングフィールとはまるで違う、ある意味ケーハクなこの手応え、見事にイタリアンだ~~~!
ところが乗り心地はメッチャいい。このしなやかな路面への追従感、そしてボディのしっかり感、これは真剣にドイツのプレムアムカーレベル。つまり、この点は3シリーズに似ている。
そこかしこにイタリアンな風合いも残しつつ国際派に生まれ変わった乗り味
そしてエンジン。低い回転域からしっかりトルクがあり、回すとイタ車らしい乾いた快音が!
レブリミットは5500rpmとビックリするくらい低くて、イタリアンな高回転高出力型ではないけれど、回せば回すほど気持ちいい点はまったくもってイタリアン。こんな快感は320iにはありません! 官能性では完全に勝利!
そしてハンドリング。というよりステアリングの反応が、あり得ないほどクイックです。ちょっと切っただけで横っ飛びしちゃうような、この過剰なクイック感、ドイツ車じゃ絶対ありえない! だって危ないもん!
プロポーションはまるで3シリーズ、顔は宇宙人、インテリアはそれほどオシャレではなく、ふわっしたプレミアムカジュアル系。つまり、第一印象は"南国生まれの3シリーズ"みたいな落ち着いた感じなのですが、中身は刹那的快楽に満ちた、実用FRセダンだったんです。「とっつきやすいけどメチャ個性的」。そういうことなんですよ!
ちなみにACCや自動ブレーキも標準装備。そのあたりの安全装備は、おそらくグローバルなサプライヤー製なので安心してちょ。どっちもフツーにちゃんと働きました。自動ブレーキは歩行者対応型で、前方に歩行者がいると「ピコピコピコ~」っ鳴く! 機能はドイツ車と同じでも、そういうところがカワイイんだよね~。
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