アルファスパイダー&ウェストフィールドSE “タイムズ Service X”レンタカー 試乗レポート/嶋田智之(2/4)
- 筆者: 嶋田 智之
- カメラマン:小林岳夫
車重は普通のクルマのおよそ半分! 軽量スポーツカーの真髄は少し走れば理解できる
最初はウエストフィールド SEだ。
このクルマは御覧のとおり、英国のライトウエイトスポーツカーの代表格といえるロータス セブンのレプリカの範疇に入る1台である。日本ではケータハムが圧倒的に有名だが、本国イギリスではウエストフィールドもよく知られた存在であり、愛好家達によるオーナーズクラブも活発に活動しているポピュラーなブランドだ。
ただし商標の関係で、本来、ウエストフィールドは“セブン”または“スーパーセブン”を名乗ることができない。こちらタイムズでは“スーパーセブン”と呼ばれているが、それはあくまでも一般の方への判りやすさを重視した、便宜上のものであろう。
この時代のウエストフィールドが先祖であるロータス セブンやライバルであるケータハムと異なるのは、鋼管スペースフレームにFRP製のボディを組み合わせていること。そして早々と4輪独立懸架のサスペンションと4輪ディスクブレーキを採用していたこと。タイムズモビリティネットワークスでは、こうしたクルマに慣れた人ばかりが乗るわけじゃないということを考慮して、マイルドな挙動を示す4輪独立懸架とストッピングパワーに長ける4輪ディスクブレーキを持つウエストフィールドをチョイスしたのだという。
長いフロントノーズの下に収まるのは、フォード製の1.6リッターユニットと5速のマニュアルトランスミッション。エンジンは見たところフォードCHV型のようで、出自を知らされてないから断言はできないが、この当時の日本仕様であれば110ps程度だったはずだ。それでも車重が600kgを超えるかどうかというレベルの軽さだから、加速力の面で不満を覚える人は少ないだろう。
エンジンはキーを捻るだけであっさりと目が醒めた。操作系の各部に変な癖がないことからも、ちゃんとメンテナンスが施された個体であることが解る。
セブン系にしてはストロークの長めなシフトレバーを1速に運び、アクセルを踏まず、クラッチペダルをゆっくりとリリースする。ウエストフィールドはそれだけでスッと転がり始める。重量のあるクルマだとここでストゥールしがちになるのだが、これは軽さのまず最初の恩恵だ。
そこからアクセルを踏み込んでいくと、おそらく初めて体験する方なら軽くビックリするほどの鋭い加速を見せる。100psちょっとという数値からこの俊敏な走りが得られるなんて想像もつかない、と感じることだろう。でも、それが“軽い”ということなのだ。
シチュエーションがシチュエーションだから、コーナリングを試すような馬鹿な真似なんてできっこないし、する気もない。けれど、大丈夫。例えば交差点でステアリングをスッと操作したとき、自分の遙か前方にある長いノーズの先端が間髪入れずに反応することに気づく。レーンチェンジも含めてそのフットワークは軽快そのもの。普通のクルマと比較したら、まるで手足の延長にあるかのような感覚とすらいえるほどで、小型軽量であるということはどれほど尊いものなのか、なんてことを考えてしまう。
ちなみにフォードCHV型は低中速トルクが豊かで、とても乗りやすい。それに地面に座って滑走するような着座位置の異様な低さは、実際のスピードよりも遙かに高いスピード“感”をもたらしてくれる。都内で短時間のドライブを楽しむのに適した要素はたくさんある。 ウエストフィールドSE、このサービスのためのクルマとしてはなかなかいいチョイスなのかも知れない。
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