アバルト 124スパイダー vs マツダ ロードスター どっちが買い!?2シーターオープンスポーツカーを徹底比較!(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
124スパイダー vs ロードスター|動力性能&エンジンフィーリング比較
アバルト 124スパイダーとロードスターでは、プラットフォームやサスペンションは共通だが、エンジンは前述のように異なる。アバルト 124スパイダーはマルチエアと呼ばれる直列4気筒1.4リッターターボを搭載しており、ロードスターはソフトトップであれば1.5リッター、電動開閉式のハードトップを備えたRFは2リッターの自然吸気になる。
トランスミッションは両車とも6速MTと6速ATを搭載するが、ソフトトップ同士で比べるとギヤ比が異なる。アバルト 124スパイダーのギヤ比は、6速ATはロードスターRFの6速ATと基本的に共通で、最終減速比は独自に設定した。エンジンに合わせて最適化したと考えれば良い。
アバルト 124スパイダーの動力性能は、自然吸気のノーマルエンジンに換算すると2.5リッタークラスだ。試乗車は6速ATで車両重量は1150kgだから、ロードスターに比べて約100kg重いが、2000~4000回転付近の駆動力に十分な余裕がある。最高出力の170馬力は5500回転で発揮されるからエンジンの性格は実用型と受け取られるが、吹き上がりは機敏でATのシフトアップはノーマルモードが6100回転、スポーツモードでは6500回転で行われた。
エンジンノイズも相応に太く、古典的なスポーツカーの運転感覚を演出している。アバルトらしいともいえるだろう。
一方、ロードスターの1.5リッターエンジンは、アバルト 124スパイダーに比べて動力性能が低い。それでも車両重量が1トン少々と軽いからパワー不足を感じる心配はなく、6速MTを4速に入れて1500回転付近からでも滑らかに加速できる。4200回転を超えると吹き上がりも鋭く、6速MTであれば機敏な走りを満喫できる。
同じロードスターでもRFの2リッターエンジンは幅広い回転域で駆動力が高い。RFの車両重量は、同等の装備を備えた仕様でソフトトップよりも約60kg重いが、滑らかな運転感覚を味わえる。それでもアバルト 124スパイダーはさらに力強い。
勝者:アバルト 124スパイダー
124スパイダー vs ロードスター|走行安定性比較
プラットフォームやサスペンションの基本形状は両車とも共通だがセッティングは異なる。タイヤサイズにも違いがあり、アバルト 124スパイダーは17インチ(205/45R17)、ロードスターはソフトトップが16インチ(195/50R16)、RFはアバルト 124スパイダーと同じ17インチを装着する。
アバルト 124スパイダーは動力性能に応じてタイヤが太く、足まわりのセッティングも変更して安定性とグリップ性能を高めた。カーブを曲がったり車線を変更するためにハンドルを切り込んだ時の反応は、車両の向きが鈍さを感じさせず確実に変わる。ロードスターも軽快だが、これに比べて重厚感と骨太感が伴う。ボディサイズ、車両重量、動力性能がすべてひとまわり大きくなった印象だ。
前後輪のグリップバランスは、ロードスターに比べて曲がる性能を重視した。唐突感を抑えながら、後輪の横滑りを許容する面があり、エンジンなどと同様、少し古典的な後輪駆動車の味付けにしている。
対するロードスターは、運転操作に対して忠実に曲がり、後輪の接地力も十分に確保されて走行安定性も優れる。アバルト 124スパイダーでは「おっ、これは良く曲がるぞ!」というかつてのスポーツカーに多かったサプライズを感じるが(初代から先代型までのロードスターにもこの傾向があった)、現行ロードスターはあえて抑制を利かせ、ほかのマツダ車と同次元で自然な運転感覚を身に付けた。
それでもロードスターは低重心で後輪駆動車のスポーツカーだから、マツダ CX-5などに比べれば運転感覚は機敏だが、「スポーツカーだから」というカテゴリーを意識させるセッティングではない。運転して先進性を感じるのはロードスターだが、クルマ好きにとって大切なスポーツカーらしさはアバルト 124スパイダーが濃厚だ。
勝者:アバルト 124スパイダー
124スパイダー vs ロードスター|乗り心地比較
アバルト 124スパイダーは乗り心地が硬めだ。前述のように操舵感を機敏にした影響もあり、街中では上下に揺すられやすい。アバルトだから当然ともいえるが、チューニングカー的というか、締め上げた感じだ。それでもバタバタした粗さはなく、一定の質感を保った上での硬さに仕上げた。
これに比べてロードスターは快適だ。日本車全体で見れば硬めで、特にソフトトップのRSはビルシュタイン製ショックアブソーバーの採用で揺すられ感を伴うが、スポーツカーであれば許容範囲に収まる。
ロードスターのRFは、ボディ剛性の向上を受けて足まわりを少し柔軟に変更したから、一層快適になった。
勝者:マツダ ロードスター
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